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各自で机をくっつけ合ったり、教室の外、好き勝手な場所にてお弁当を広げているお昼休み。校内放送では、リクエストだろう、人気の男性ユニットのヒット曲が流れていて。そんなBGMのところどころを、雑談の声が輪郭をぼやかして。どこか曖昧なざわめきが雑然と満ちている、そんな2年生のとある教室へ、ふらりと姿を見せた人物があった。
「こ、小早川。」
窓際の席で、今年は同じクラスのモン太くんと二人、他愛ないことを話しながらお弁当を食べていたセナに、クラスメートの男子が怖々と声を掛けて来る。相変わらずに小柄で大人しいセナは、教室でもさほど目立つ存在ではなくって。例年ならば適当ないじめっ子に目をつけられては"パシリ"として顎で使われていたところだが、今年は頼もしいお友達が一緒だし、それより何より本人にも自信がついたので。そういう魔手も伸びては来ないまま、ごくごく普通に過ごしているのだが。だからして、
「よよよ、呼び出し。」
ただそれだけの声を掛けるのにこんなにも及び腰になられるほど、怖がられる覚えもない。キョトンとしつつ、
「? 誰?」
訊くと、
「あの人…。」
戸口を指差したクラスメートに、ああ…と、やっと納得する。開け放たれた横開きのドアに手を掛けて凭れ、こっちを見やっている長身は誰あろう、
「なんだ、蛭魔さんか。」
やはりそちらへと首を伸ばしたモン太が、あっけらかんとした声を出したのへ、
「お前ら、怖くないのかよっ。」
呼びに来た男子が小声で言う。名前を唱えるだけでも何かしらの禍根が降って来そうな言いようであり、相変わらず悪魔のように恐れられている先輩さんなようだが、
「怖くない…ってのか。…なあ?」
「うん…。」
これは恐らく"慣れ"だなと、アメフト部員の二人は顔を見合わせて苦笑し合う。部員だからと甘く対してくれる訳では決してなく、むしろもっと直接的に、まるで…いきなり強引に"着ぐるみ"を着せられた獅子の子のように千尋の谷へと突き落とされ続けおいおい、信じられない采配の数々に翻弄されても来たけれど。そのおかげで飛躍的に強くなれたし、先へも進めた。傍らに添ってみれば、あれほど頼もしい先輩もない。昨日の試合の話かな、そういえば…珍しくも観に来てはくれなかったねと。そんなこんなを言い合って。だが、
「名指しってことはお前だけに用があんだろから。」
そこはモン太くんも慣れたもの。セナには"アイシールド21"という秘密の顔もあり、そちらへの用事なら…自分は知らん顔をするか、その間のセナのアリバイを作らにゃならないと、きっちり心得ている頼もしさよ。じゃあと慌ててお弁当箱を片付けたセナが、ぱたぱた…と戸口へ向かえば、相手は先に明るい廊下を進んでいて。
『ついて来い』
細身の背中がそう言っている。これもまた慣れたもので、それへとそのまま ついてゆくセナである。
先輩さんの背中がやっと立ち止まったのは、体育館の裏手であった。上履きで出られる限界、打ちっ放しのコンクリートの部分、広めのポーチ沿いにトコトコとついて来たセナと違い、蛭魔の方は堂々と、擦り切れた芝草の方まで歩数を延ばしていて。二人の間に少々距離はあるけれど、中からは、バレーボールだかバスケットだか、昼の練習をしている声や物音が響いているから、よほど傍に寄らないと会話の声は聞かれない環境ではある。
「あの。」
日蔭ではないので、初秋の昼下がりの透き通った陽光は眩しいくらいに降りそそいでおり。まだ色づき始めてはない木立ちの傍ら、やや奥まった辺りで振り返った先輩さんの、脱色されたダークブロンドの髪がいつもより暖かな色に見える。何の御用かなと小首を傾げた瀬那へ、
「その、なんだ…。」
いつも余計なほど自信たっぷりな先輩さんは、何故だか…珍しくも言葉を選んででもいるのか、こっちを向きはしたが、視線をちらと泳がせながら少々言い淀んで見せた。何とも口が重そうで、
「あっ。あの、先日のことでしたら、ボク、誰にも話してませんから。」
そうそう、そういえば。蛭魔さんてば、例の騒ぎのこと、特に口止めしてなかったんだと、今になって思い出したセナで。それを今日になって蛭魔さんの側でも思い出して、念を押したかったのかな? そうと気づいて言い出せば、
「いや、それは良い。」
はい? いやにあっさりと答えが返って来た。
「誰かに話すような奴じゃねぇだろ。」
「はあ…。/////」
あやや信用されてたんだと、何だか面映ゆくてセナの頬がちょこっとゆるんだ。でも、じゃあ…何だろう。他には とんと、思い当たるものがなく、
「???」
ちょこっと小首を傾げて見やれば。やわく握った白い拳、口許に時折持っていっては、う〜んとと何か迷っているような。いつものキツさが少し薄れているお顔で、ちらちらとこちらを見やる蛭魔さんなので、何か伝えたいんだなというのは分かる。思いつけないのではなくて、言い出す切っ掛けに困っていると。何だかそんな感じがしたので、これは待ってるしかないなと、上履きの先、足元なんか見下ろしていると、
「うん…。」
やっと言いようがまとまったのか、そんな声を出してから、
「あのな。何か一つ、言うこと聞いてやる。」
「………はい?」
何だか突拍子もないことを言われたような。顔を上げて、だがだが、
「あの…?」
同じ教室にいたモン太くんは呼ばれていないし、こんな場所での話。昨日の試合で勝てたご褒美だというのではなく、先日の騒動に関係のあることだというのは分かる。でも、
「どうして…。」
どういう意味なのか、何で自分になのか、そして…どういう理屈でそうなるのか、色々いっぱい分からない、唐突なお言いよう。何よりも"言うことを聞いてやる"だなんて、
"…自分があちこちで奴隷を作ってるのと、同じような理屈からだろうか。"
何かしら弱みを握ったからってですか? …う〜ん。そういうの、発想はあっても自分にも持って来るような殊勝な人とも思えないんですけれど。
「だから…。」
判んねぇなら もう良いよと、突き放す訳には行かないらしくて。通じてないなら言葉を足さねばと、がりがりと頭を掻いてから、
「面倒かけたし、その…泣かしたし。」
――― ………あ。
あの騒動の最後の日。何が何だか分からないまま、実は…殺人犯だったという恐ろしい人を捕まえたその場に居合わせた瀬那の、泣き腫らして赤かった眸を見とがめて。
『昨日。あれから…泣いたのか?』
つれなくも乱暴に。心配して まとわりついたセナを力任せに叩き出した、そんな自分の態度がその赤い眸の原因なのだとすぐさま気がついた蛭魔は、
『痛かったろうに。』
追い出すためにとはいえ、無理から引っ張った髪を今度はそぉっと梳いてくれて、そのまま…きゅうって優しく抱っこしてくれたのだが。
「そんなっ、気にしないで下さいよ。」
まさか こうまで気に病まれているとは思わなくって。セナの方こそ あわあわと慌てて見せる。
「あれは…あれはボクが勝手に思い込んで、その…。/////」
ちょっとだけ赤くなりつつも、口許を笑う形に歪ませて、
「馬鹿ですよね、早とちりして泣いたりして。」
だってホントは、全然大丈夫だったのに。
『あ〜〜〜っ! 何してんだよっ、妖一っ!』
『セナくんには進がいるだろーっ!』
やっぱり桜庭さんは蛭魔さんのこと大好きなままだったし、蛭魔さんだって…色んな意味から桜庭さんを信用していたからこそ、作戦の要、繚香ちゃんの傍らっていうところへ彼を据え、あんなスキャンダルを立てさせたのだろうし。全容が分かってしまうと、あれほど感情的に騒いでしまったことが、今度は何だか途轍もなく恥ずかしくなってしまったセナでもあって。だのに、
「いいから。」
わたつきつつも声が小さくなったからだろう。ゆっくりと歩み寄って来た蛭魔であり、そんな彼の接近に、ついつい後ずさりしたセナの小さな肩の向こう。体育館の壁にトンっと手をつき、後輩さんのお顔を間近から覗き込む。
「何でも良い。俺に出来ること、何かねぇのか?」
こらこらこら。無理から要求しない。(笑)
「そんなの、急に言われても…。」
夢にも例えにも、思ってみたこともないことだ。まるで新手の脅迫みたいで(笑)しどもどと尻すぼみになる声に、いつもだったら"ぶっちん"とキレてしまうのがセオリーな蛭魔だろうに、
「…じゃあ、いつでも良いからよ。」
くつくつと低く笑って…こつんと。セナのおでこの端、自分の額をくっつける。
「あ…。/////」
覗き込んで来た瞳の。ほとんど色みのない淡い虹彩が宝石みたいで、ほわんてなって、ついつい見とれたセナで。
"…この人は。"
色んなこと、目一杯に凝縮されてる人だなと、つくづくと思うのはこんな時。最初の頃は、なんて"やる気満々"な、ぎらぎらした生気の塊りみたいな人なんだろうって、言動とか派手な見た目だとかから、生々しいまでの迫力を直接感じていただけだったのだけれども。間近になったり遠くになったりして色々と見えてくると、その奥行きの複雑さにも秘やかに翻弄される。やることなすこと乱暴なのに ふとした仕草が綺麗なこととか、物想う横顔は大人びているのに、怒るタイミングは子供みたいに分かりやすいとか。狡智に長けている割に…正攻法で好意を捧げられると躱し切れない不器用なところがあるとか。(笑) 人は誰でもそうそう単純ではないのだけれど、この人は特に、ややこしい人で。でもね、聡明な光を宿した優しい眸、覗き込んだら…揮発性が高い気性をしているのに、繊細な感受性もこそりと同居させてることに気がつくし、それが違和感のないことだって自然と納得させられてしまう。ぐりぐりっておでこを2、3度押しつけて来て。釣られたみたいにこちらからも小さく笑うと、満足したようにパッと身を離す。子供同士の小さな睦み合いみたいな、そんな仕草もまた、不思議と似合う人。
「いつでも言えよ?」
良いな? と、念を押されて、こくりと頷いたセナだったが、
「あ、そうだ。桜庭さん、またお家に戻ってないそうですけど。」
大方、昨夜にでも進とメールか電話のやり取りをしたのだろうというのがすぐにも知れる言いようで。自分のことには本当に無防備な奴だなと苦笑を洩らした蛭魔が、
「ああ。奴ならウチにいる。」
行方不明なんかじゃないから案じるなと。そんなつもりで言ったらしいが、
「え? ………あ。/////」
ぽかんとしたセナが、そのまま。何故だか…頬を染めたのへ、
「…あんだよ。/////」
蛭魔さん、赤くなってから唸っても…vv(笑) やってることがセナと変わらないのだと、誰に言われずとも自分で素早く気がついての赤面であり、ボケまくってた王城の二人と良い勝負で、こちらさんは…何とも可愛らしい人たちであることよ。
「…ともかく、だ。」
これ以上、何かしらボロが出ては、日頃保っている威厳も威容も形無しかも。そんなことを思ってか、
「迷惑かけた騒動は置くとして(置くのか?)、放課後、昨日の試合の反省会を簡単に開くからな。」
いきなり気勢のボルテージを挙げて見せる先輩さんであり、
「???」
何でまた、急に"アメフト部のご隠居様"モードになった彼なのか。それが分かったのは、
「じゃあな。」
ふいっと踵を返して、校舎の方へ足早に歩み去る彼と…すれ違うように、ぱたぱた…っとセナへ駆け寄って来た人物があったから。
「…セナ。」
「あ、まもり姉ちゃん。」
何だか妙に張り詰めたお顔になった まもりが、急いで駆けつけたという様子にて現れて、ふわっと伸ばされた手が髪や頬へとすべり込む。柔らかな仕草、甘い温み。全校男子生徒たちが秘やかに憧れるマドンナからの、懐ろに掻い込んでぎゅうと抱きしめるような保護を受け、いつもいつも守られて来たセナではあったが、
「何か苛められてたんじゃないの?」
「え? ………あ、違うよっ。」
立っていた角度が違ったから、セナは全く気がつかなかったのだが。蛭魔の側からは、この まもりからの視線というものが見えるかどうかしたのだろう。それで、話が面倒になる前にと、あんな風にそそくさと立ち去った彼なのに違いなく、
「ホントに? 何にもされてない?」
見回せば…内緒のお話をしたかったから選んだ"此処"は、成程いかにもな場所だし、一緒にいた相手も相手だ。それに、話の内容は届かないまま、様子だけが見えていたのなら、壁際に追い詰められて、顔を深々と覗き込まれる…だなんて構図、
"…そっか。まんま、脅されてるみたいに見えちゃったんだ。"
小さい頃からのずっとずっと、いじめられっ子のセナを庇って、母親のようにいつもいつも盾になってくれてた、強くて優しいまもりだが、
"ごめんね。まもり姉ちゃんに、ボク、いっぱい内緒がある。"
アイシールドをつけてフィールドに立ってたこととか、そこから始まった進さんとの色々とか。話せなくって教えてなくって、そんなせいで沢山心配させたと思う。今回の自分みたいにハラハラもしたんだろうなって、今更ながら"ごめんなさい"って思ったセナだった。
◇
セナの自宅は、学校がある泥門市から電車で数駅ほど離れた雨太市にあって。問題の事件の幕を引いた格好になった、あのドタバタ騒動が起こった日の…一日前。あの時点では何も知らなかった身だったことから、ついお節介な心配をして、蛭魔さんに突き放されてしまい。しかも、そんな瀬那を迎えに来いと、前もってのメールで進さんを呼んでいた先輩さんで。自分の行動をあっさりと計算していた、周到な彼だったことに更なる衝撃を受けてしまって。大好きな人たちの思わぬ仲たがいという現状へ我が事のように悲しくなり、何も出来ない非力さに情けなくなり、ひどく落ち込んで泣き出してしまったセナを、進さんはただただ黙って受け止めて。人通りは少なかったがそれでも"往来"という 人の目がある場所で、気が済むまで泣き続けるままにしてくれて。
『…すみません。』
どのくらい泣いたのか。何とかその場での涙を落ち着かせ、帰りますと言い出したセナに、
『………。』
それは心配そうな顔を向けた進さんで。駅に着いて改札を通ると、セナはいつものように渡線橋の手前、こちらのホームから帰る進さんに"それじゃあ"とご挨拶しかかったのだが、
『………え?』
手に提げていたバッグを取り上げられて。しかもそのまま、進さんが高架になった渡線橋を登り始めたのでハッとした。
『進さん?』
慌てて後を追い、隣りに並ぶと、大きな手の温かい感触が、シャツ越し、背中にそっと触れて。
『送って行く。』
『え?』
でもでも、あのその。進さんのお家とは方向が逆なのに。自分ももう泣き止んでいるのに。部活には出なかったから疲れてもいないし、大丈夫ですようと言ったのだが。
『そんな顔のまま、独りで帰せるものか。』
低い声で厳然と言い放ち、真っ直ぐ前を向いたままだった進さんの横顔。以前の自分だったなら、叱られているようにも思えて、畏縮したかもしれないくらい無表情な彼だったのだけれど。それが…真摯なまでにセナのことだけ気遣ってくれてるお顔だって判るようになってたの、後で気づいて…やっぱり幸せ者だなって顔が熱くなったセナくんで。何度も訪れたことがあって、すっかり覚えている駅からの道でも。まるで進の方がセナを先導するように家まで送ってくれた彼は、門扉を"きぃ"と軽く軋ませて開けたセナが…ポケットから鍵を取り出したのを見て、ああと何かに気がついた。
「…あの、お茶でも飲んで行って下さい。」
小さな肩越しに振り向いたセナに小さく顎を引いて頷いて見せ、だが。玄関の中、三和土たたきに入って、靴を脱いで上がった途端に、
「………え?」
不意に ふわりと体が浮かんだことへ、予想がなかったセナがギョッとする。頬や肩、体の片側が触れたのは、制服越しの進さんの体温への感触。実に手際よく、膝の下と背中へ腕を回して軽々と、セナの小さな体を抱え上げた進さんで。
「あ、あの…。」
勝手知ったる何とやら。そのまま廊下の取っ掛かりにあった二階への階段をとんとんと登って行き、慣れた様子で…セナの膝下に添えていた手で手前のお部屋のドアを開ける。さっぱりと片付いて気持ちの良い部屋。まだ少しほど明るい窓辺の机の上にはクリスタルのリンゴが飾られてあり、傍らのベッドにはベージュのクマの大きな縫いぐるみがデンと座っている、此処はセナの私室である。自分のお家なのに、完全に進のペースで事が運んでいるのへ、
"え? え? え?"
温かで広い懐ろに抱かれたまま、完全に翻弄されていたセナだったが。ふさりと、カバーを剥はいだベッドの上へ降ろされて、やっと何がどうなったのかという情況に気持ちが追いついた。
「…進さん?」
日頃からも、何の説明もないままに身体が既に動き出しているというような、良く言って"行動的な"ところは多々ある人で。それへと"ああ、説明してる暇も惜しいんだな"と、大概は同時進行にて察しがつくようにもなっていたセナなのだが、今のこれはちょっと。あまりの強引さが…最近の 気を遣ってくれるようになった進さんには珍しいなと、ややもすると不可解なことと感じていると、
「ご両親が戻られるまで、少し休むと良い。」
そんな声が掛けられて、まだ夏のそれを使っている上掛けを、座ったお膝に掛けてもらって…ハッとした。
"あ…。"
ポケットからセナが取り出した鍵。そこから…まだ誰も帰宅していない家だと、しかも、ドアノブに手を掛けもせず、最初からそれが分かっていたセナだったということを察してくれた。そして、
『そんな顔のまま、独りで帰せるものか。』
そんな子を、誰も居ない家に独り、置き去りにしては帰れないと、そうと感じた進であるのだろう。
"進さん…。"
彼なりの、心を尽くした最上級のやさしさを、惜しみなく そそいでくれる人。何も語らないのは言葉を探す暇も惜しいから。まだ慣れないことだろうに、ただただセナのことだけを、心配して優先してくれている優しい人。大きな身を小さく屈めて、無表情に近い凛々しいお顔、でもとっても心配させて覗き込んでくれるから、
「…ふぇ…ん……。」
ああ、どうしよう。また涙が出て来ちゃったよう。進さんが心配するのに、今日は全然 頑張れないよう。目許や口許を歪ませて、嗚咽を洩らすセナのこと。きゅうって抱っこしてくれて、温ったかい懐ろに抱え込んでくれて。大きな手で、いつまでもいつまでも。背中や髪を撫でてくれて。ベッドの端っこで横に倒れちゃったクマさんに代わって、涙も泣き声も、哀しかったの全部、吸い取ってくれる優しい人。
――― 不思議だね。
哀しい時より 幸せな時や甘えている時の方が、
安心してるせいかな、涙ってなかなか止まらない。
いつもより数倍も幼いとけない、小さな小さな子供に返ったみたいに。時々しゃくり上げながら、こっちからも進さんにしがみついて…ずっとずっと泣きじゃくってしまった、小さな小さなセナくんだったのだった。
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*結構ドタバタしたもんですので、まだちょっと後始末が残っているようです。(笑)
どうか、もちょっとお付き合いを…。
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