Summer-Garden B
 

 

          
その3



 さてさて、合宿最初の夜が明けて。まだ2日目だというのに、もう。午前中の全体トレーニングの後、簡単に…ポジション別の名簿順にと割り振っての仮のチーム編成が発表になった。各自に配られた表を眺めつつ、
「へぇ〜、試合形式ってのをもう始めるか。」
 どこかわくわくとした声を上げる者が多いのも、皆の意気軒高ぶりを示して良しと見るべきか。攻守がはっきりしたスポーツゆえに、特長のあるポジション別に鍛えどころも微妙に違ってくるため、それぞれにそれなりのトレーニングというものもありはするし、そういったもの、こつこつと積み上げるのも大事なことではあるけれど。何と言ってもここに集められた顔触れは、若手の中でも抜群の能力を保持し、ある意味その方向性をそれぞれに完成されてさえいる精鋭揃い。ついでに言えば個性派揃いでもあるので、短期間の合宿でもあることだし、ここはやっぱり実戦における切磋琢磨が最も手っ取り早くて効果的だろうと…、

  「とどのつまりは、俺たちの実力とやら、
   色んな意味で幅がありすぎるんで、
   きっちり御せるコーチや監督がいないってことかよ。」

 いや、そんなはっきりと。

  「とはいえ、同じ枠で画一的にちんたら育成するんで良いなら、
   わざわざこんな合宿なんざ設けないってトコだろな。」

 主催者側も大変なんですよ、なにぶんにも初めてのことだから。ポジション別に各々のコーチを揃えるなんて、口で言う何倍も大変だと思うし。
「………ま、いいけどよ。」
 これだけ多彩な顔触れ相手なのだから、確かに…ゲーム形式やフォーメイション中心の練習の方が、得られる刺激も多かろう。選手側にも異存はなく、そちらは午後から開始となる運び。……………で、そんな名簿表の中、

  「アイシールド21…か。」

 いきなり挙がっていたこのお名前には、皆さんのざわめきもさわさわと高まり、トレーナー班の方々と一緒に、皆へと配る"冷やしタオル"を詰めたクーラーバッグを運んでいたセナくんに至っては、

  「…っ!?」

 ドキィっとその小さな肩を竦み上げてしまったほど。あまりにありありと挙動不審になった彼ゆえ、
「どした?」
 重たいクーラーバッグを一緒に運んでいた他校の主務さんが声を掛けて来て、
「あ。ああ…っと、いえ。」
 何でもありませんと、ごにょごにょ言い訳。選りに選って本人が不審な素振りをしてどうするかと、円陣の後方辺りで蛭魔がしょっぱい顔をしていて、それを見たことで何とか気を取り直すことが出来た。凍らせておいたハンドタオルを選手の皆さんに配りつつ、

  「俺、直接当たったことねぇよ。」
  「俺もだ。なあ、どんな奴なんだ?」
  「とにかく速いな。」
  「そりゃあ分かってるってばよ。」
  「切り返しがな、独特なんだよな。」
  「そうそう。」
  「あの速さで突っ込んで来て、
   なのにそっちへいきなり曲がれるのか?ってカットをしやがる。」
  「何だ、そりゃ。」
  「いや、ホントにそういう感じなんだって。」
  「試合中にタックルで止められた奴っていったら、
   ホワイトナイツの進だけじゃねぇの?」

 いや、そんなこともないと思いますが。(初めての王城戦では、大田原さんに潰されてるカットもありましたし。)

  「けどよ、何でこの合宿に来てねぇんだ?」
  「だよなぁ。」
  「だってのに、名前が出てさ。」
  「何か事情があるらしいぜ?」
  「スポーツ留学してたって噂だし、
   もしかして国家の管理が厳しい国から亡命とかして来た奴なのかもな。」
  「そうか、それで今回、大っぴらには参加出来なかったのか。」

 な、なんか話が勝手な方向へ。
(う〜ん。)

  "………大丈夫なのかな、ホントに。"

 蛭魔さんや栗田さん、桜庭さんに、勿論のこと進さんも、ちゃんとフォローしてくれるそうではあるけれど。こんな形の場に混ざって、果たして破綻なく過ごせるものだろうかと、ちょっとばかりドキドキしてきたセナくんでもあったのだった。





            ◇



 さてさて、蓋が開いてみたならば。


   ――― 案ずるより生むが易し。以上。


   "………おいおい。"
(笑) ×@


 関係者各位に失笑されましたので、も少し詳細を述べますならば。セナが"呼びに行った"ことで午後からの練習の場へと現れた、噂の注目株"アイシールド21"だったが、それを言うならこの場に集められた皆様だとて。未来の日本アメフト界をしょって立ったり、まだそこまでは考えていなくとも、とりあえず…今期の大会では負ける側には回んねぇからなという、自負も強けりゃ鼻っ柱も強い御方々揃い。謎がいっぱいで噂の"アイシールド21"という選手には、関心がない訳ではないものの、それはあくまでもプレイの巧拙に対してのものであり、顔半分を覆い隠すアイシールドの下はどんなお顔なのかには、大して興味も涌かない方々が大半。
「ホントは関心があっても、他人の目があるからね。ガッついてるって思われるのが癪なんだろうよ。」
「"ガッついてる"?」
「そ。プロレスでもさ、仮面のレスラーの正体を知りたきゃ、まずは試合で倒してからじゃなきゃあ狡いってもんだろ? それみたいなもんで、実力で叩き伏せでもしない内から、こそこそ物欲しそうに覗き見るなんて、勝ち目のない"卑
いやしんぼ"のすることだってのが、皆して分かってるんだよ。」
 ややもすると周囲へ聞こえよがしな言い方をしてくれたのも、桜庭なりのさりげない"作為的作戦"の一環らしい。気の弱そうな"主務"として、そして"アイシールド21"への唯一の連絡手段として参加している瀬那に、筋違いな風当たりが来ないようにと慮
おもんばかってくれてのこと。こんな具合で…デビルバッツ組だけでなく、唯一、試合で接すれば必ず何度かは捉らえて引き倒せる、こちらも"高校最強"のラインバッカーさんとそのチームメイトさんにも、さりげなく衝立ついたてになってもらったりしてカバーしてもらっているせいで、執拗に正体を覗き込めないようにと運んでいただいていて。練習終了と同時に"ばびゅん"と敷地の端っこまで突っ走り、使われていない宿舎の空き部屋にて素早く着替えて"デビルバッツの主務"として戻って来たところ。アイシールド21を呼びに行った"小早川瀬那"が戻って来ないのは、彼の代わりに事務仕事を押っつけられるからだろうと、これも蛭魔がいけしゃあしゃあと言い抜けてあり、さほど不審には思われていない。…というか、

  『ふぇ〜〜〜。』
  『やっぱ、速ぇえぇ〜〜。』
  『見たかよ、あの切り返し。』
  『ああ。あんな無茶なカットばかり続けてたら、膝や腰が保たんぞ。』
  『あんなん、どうやって捕まえろってんだ。』
  『あれじゃないか、進の一人勝ちを許さないっていう、天からの配剤。』
  『お、さすがはミッションスクールのチームだ。言うことが違うね。』
おいおい

 これまでに合計3度の関東大会に参加して来た"アイシールド21"であり、昨年の秋季大会や今年の春季大会などは結構上位まで勝ち残ったから沢山のチームと当たれた方だが、それでも半数近くのチームとは、いまだ未接触。そんな訳で、今回初めて"生・アイシールド21"
おいおい を見ることが出来たという面子たちも少なくはなく、その迫力というか鮮やかさに呑まれるあまり、内気そうで大人しい主務くんの行方にまで関心を抱く者は出ていないというところかと。それに、
"…まずは重
かさなんないよな。"
 ちょっとばかり腰が引けてて小さくて、いかにも"主務です"という雰囲気の少年と、その鋭い反射の飛び出す範囲内を360度オールクリア出来る、進清十郎の鬼神の槍"スピア・タックル"の発動を、唯一、かなりの比率で躱し切れ、王城戦でも1つの試合に何度かは見事なタッチダウンを決めている、超人的なカット&ランを操る"謎のランニングバッカー"とが同一人物だと瞬視で分かる者なんて、そうは居ない………

  "いや、居たけどね。一人ほど。"

 居ましたね、一人ほど。
(笑) 装具や着替えの入ったバッグを胸元へと抱え込んでいるセナを、蛭魔さんが憂慮したのと同じ方向、万が一にも誰ぞに急襲されないようにと迎えに来てくれた桜庭くんは、並んで宿舎の方へと戻りつつ、ふと…小さく苦笑って見せた。
「桜庭さん?」
「あ、いや。ごめん。」
 あんまりべったり一緒だと却って怪しまれるかもしれないからと、昇降口の手前で"先に行くね"と手を振った大柄なアイドルさん。宿舎でのお部屋は離れていて、特に不自然なことではない。こちらからも手を振り返してから、はふぅと零れた吐息が一つ。初めての二役は、されど何とか無難にこなせた。大人しいタイプの人物と、打って変わって途轍もない実力を持つヒーローとの二役だなんて、何だか映画や特撮アクションドラマの設定みたいで、まさかに自分がこんな立場になろうとはと、
"喜んで良いやら、それとも…困るべきなのかな?"
 何だかなと苦笑する。迷うということは、少なくとも"困って"はいないセナであり、結構楽しんでいる自分に気づく。でもね、
"…なんでかな。"
 ちょっとだけ。胸の奥、もやもやしているものがなくもない。去年の初めの、全くの初心者だった頃ほど ヤなことじゃあない。アメフトも好きになったし、一人前にゲームを制することが出来るようになったし、それって物凄い爽快だと思うし。一緒にいると楽しいお友達もたくさん増えたし、毎日が楽しいドキドキ続きで、充実しているし。なのに…どうしてだろう。今日のお初の練習が終わってから、ちょっとだけ…胸がもやもやとして来てしょうがない。何でもない、きっと緊張が抜けないだけさと振り払い、汗を拭こうとバッグを覗いて………。


  「…あれ? タオルがない。」










 急いで着替えてから顔や手を洗った、グラウンド隅の水飲み場。そこまで戻って辺りを見回し、
「あ、あった。」
 古ぼけたセメント作りの流しの脇に、泥門デビルバッツのマスコットがプリントされたハンドタオルを見つけた。うっかり落として気づかぬまま、迎えに来てくれた桜庭に呼ばれたことへ取るものもとりあえずという勢いになって、宿舎の方へ戻ってしまった自分であったらしい。拾い上げてからパタパタと振って砂を払い、簡単に畳んでバッグに突っ込んだその拍子、

  「…え?」

 後ろから伸びて来た腕に、不意に抱きすくめられて"ぎょっ"とする。手からバッグを取り落とす。ちょうど背後に立ったその胸板へと引き寄せられるように、頼もしい腕が…出来るだけ柔らかく抱えてくれたこの感覚には、セナの側からも覚えが重々あって、

  「…進さん。」
  「ああ。」

 短い返事に、頬が熱くなる。だが。傍らの棟にも、ほぼ往復することとなった宿舎からここまでの間のグラウンドにも、人影は見なかったが。陽の高さも随分と低くなった、夕刻間近い頃合いだとはいえ、まだまだ明るい時間帯。
「あ、あの。」
「なんだ?」
 背後の頭上からの声は妙に優しくて、そして…何だか無性に嬉しくて。
「えと…。」
 ついつい、掛けようとした言葉も鈍ってしまう。昨日の昼からこっちのずっと、こんなに近くにいながら"相手の顔や姿を眺めやる"以上のやさしい接近や触れ合いというものは皆無に等しくて。ここへはアメフトの練習と研修に来ている身なのだから、当然と言われればそれまでのことではあるのだが、なまじ至近にいるのにと思うと、尚のこと寂しかったのを思い出す。温かい存在感。大好きな気配。胸元へと回された頼もしい腕にこちらからも触れてみて、だが、

  「誰かに見られますよ。」

 こんな態勢でいて、何をどう誤解されるやら。いや、誤解ではないのだが、それでも要らぬ詮索は受けたくはなかろうにと、窘めるような声をかけると、
「皆、食堂だ。」
 相変わらずに端的な言いようが返って来た。やっと終わった練習の後だから、皆もシャワーだ食事だと忙しい。こんなところにぐずぐずしている者を詮索しに、わざわざ足を運んで来るような物好きなどいないと、そう言いたい彼なのだろう。そしてそんな応じをした彼自身はといえば、一応はフルセットで身につけていた装具一式姿から素早く着替えている手際のよさよ。短く応じてそのまま、全く緩まぬ就縛に、
"………。/////"
 相手のお顔は見えぬままながらも、ますますと頬がかぁっと熱くなるセナだった。空いていた脇を通って胴をぐるりと。小さなセナの薄い体なぞ片腕だけで悠々抱き込めるのに、わざわざ両腕で、大切なものだからとそぉっと抱きしめてくれている。背中、脇腹、胸元。相手と触れ合っている箇所がじんわりと熱い。
「………。」
 みぞおち辺りで重ねられていた大きな手が、だが、片方だけ。少ぉし動いて左脇を撫でた。その途端、
「…っ!」
 擽ったいような、それだけではない…ドキッとするよな感覚が、セナの背条を走ったのは、

  「…痛くはなかったか?」

 そうそう。やさしい触れ合いはまるで無かったと言ったが、練習中は話が別。4チーム分ほど組まれた編成のランダムな組み合わせの中で、彼と彼とは当然のように対峙し合うように別々の組にと振り分けられていて。何組目かの対戦フォーメイションにて、中央から飛び出した"アイシールド21"を真っ向から迎え撃ち、見事に仕留めた進であり。その時に同じ場所、がっしと掴まれたのを思い出したセナだった。そして、進もまた…その場所へと的確に触れられるほど、刹那の接触をしっかと覚えていたのだろう。響きのいい低い声での問いかけに、セナはふるふると首を横に振り、
「大丈夫です。防具の上だったですし。」
 今でこそ案じてくれているが、フィールドの上ではそんな余裕はお互いにない。真剣の緊張感を保ちつつ、本気で全力で相対すこと。それがそのまま、相手への一番の礼儀であり、偽りない評価の現れだから。進は本気で叩き伏せようと掴み掛かって来るし、セナも本気で蹴散らすべく身を躱し、フィールドの彼方目指して駆け抜ける。加速の乗った疾走中の人ひとりをその身で止めるには、それ相当の力が必要。だが、この青年はなんと半身の片手でそれが出来る。先にも述べた"鬼神の槍
スピア・タックル"がそれで、すぐ傍らを隙を突くようにして何とかやり過ごせても、そこから更に腕だけが伸びての追撃が可能。しかも本人も"高校最速"との肩書きが示すほどに途轍もない俊足で、反射動作も思い切り機敏と来て。なればこそ、それを振り切るには"途轍もない"以上のスピードが必要で。まだボールの持ち方さえ知らないくらい、ほとんど素人も同然だった初顔合わせの試合にて、冷静沈着、機械のように冷徹だった進さんを、それまでにないほど高ぶらせ焦らせるほど、一気に急成長を見せた小さなランニングバッカーさんは、

  「そんなこと思うなんて、もしかして手加減してたんですか?」

 今ではそんなことを言うようにまでなっていて。だったらちょっと不満ですと、頬の輪郭が膨らんだのが眼下に見えた。フィールドを離れれば…思わぬ日向に咲いてた小さなお花みたいに、ほっこり微笑ってくれる優しい子。けれど、そこはやっぱり男の子でもあって。この頃、アメフトに関わることへはなかなかの鋭気を示すようにもなって来た。同じ土俵の上に立てて、心からの"本気"をぶつけられるという最高の評価を一度でも味わうと、それ以下では到底居られない。意気軒高、本気で不服そうな気配を示す彼に声を出さずに苦笑をし、
「悔しいのなら、手加減されぬようになるんだな。」
 在り来
きたりな言いようではあったが、それを口にしたのが本当に実力ある人物であるだけに、
「うう…。」
 小さなセナくん、ぐうの音も出ずに口ごもる。そんな彼の薄くて頼りない上背を、再び軽く抱え込み、

  「冗談だ。」

 進さんは自分の鼻先をセナの柔らかな髪の中へと突っ込んで、ぽそりと一言、付け足した。
「春大会以来だったし、よく捕まえられたもんだなって、嬉しく思ったから覚えていたんだ。」
 それに、と。言って、少し間を置き、


  ――― 手加減なぞしたら、嫌われてしまうだろう?

  「////////////っ!」


 もうもう、この人はと。まだまだ茜の赤味なぞ欠片
かけらもない、黄昏前の明るさの中、熟れたトマトを思わせるほどにセナは真っ赤になってしまった。ドキンと心臓が跳ね上がり、顔にうなじへと"かぁ〜〜〜っ"と血が昇ってきたのが実感出来たほど。セナから嫌われたくはないから、そんなことをする筈がないぞだなんて。セナのこと、それだけ好きだと、そんな言い回しを臆面もなく言い放つだなんてっ。進清十郎といえば、アメフトにしか関心も蘊蓄もなく、とことん野暮で鈍感な素っ惚けた男ではなかったか? 一体何処でいつの間に、こういう言いようを抜け抜けと言うような、こっち方面での厚顔さを覚えて来たのだろうか。
"う〜〜〜〜。/////"
 熱い頬を覗き込まれぬよう、ちょこっとばかり俯いて。どう言い返せばいいのだろうかと、思いはしても思いつけず、ただただ"う〜う〜"と唸っていると、

  ――― ***♪

 足元へ落としたままだったバッグの中から、携帯電話へのメール着信の音がした。
「あ、と。」
 腕を緩めてもらって、大急ぎで取り出す。電話ではないのだから急ぐ必要もないかなと思ったものの、ある意味で習慣のようなもの。画面を見ると、
「? え? 蛭魔さん?」
 封筒の表示の差出人を見て小首を傾げた。同じ合宿に来ていてメールもなかろうと思ったのだが、

  【とっとと帰って来やがれ、メシ食う時間、なくなるぞ。】

 いたって短い文章に、

  「ああっ。大変です、進さんっ!」

 思い出したことがあったセナだ。
「晩ごはんの後、ミーティングがあるんですよう。6時には始めるから、ごはん早く食べて会議室に集まるようにって。」
 一大事だと慌てて見上げて来る小さな主務くんに、だが、
「そうか。」
 こちらは余裕で笑った俊足のラインバッカーさん。
「食堂までなんて、あっと言う間だろう?」
 自分たちの足でなら。黄昏色に染まり始めた夏の夕映えの中、珍しくも"にやっ"と悪戯っぽく笑って見せた進さんに、
「あ、はいっ! /////
 何だか…小さな企みに一緒に乗っかったというような、ワクワクっとした気分が沸いた。セナのバッグを掬い上げるように手にした進が、そのまま走り出したのへ、セナもそのまま追従する。最初はゆるやかに、だが、すぐさま加速して、鬼ごっこでも楽しんでいるかのように。2つの疾風が人気のないグラウンドを駆け抜けた。………あとになって、先に食事を済ませた面子に窓からでも見られていたら、進はともかくセナの方は"なんて脚力なんだ"と怪しまれたのかもと気がついて。浮かれてたこと、ちょっぴり反省したけれど。この合宿に来て良かったなって、セナくん、初めて心から嬉しいと感じた瞬間だったそうなvv






←BACKTOPNEXT→***


 *やっと、ちょこっとだけいつものモードでございます。
  これでなくて、何で“合同合宿”という設定にしたか、判らんというもので。
おいおい
  はてさて、お次はどういう展開になりますやらvv