tossインターネットランドへ戻る
東京書籍版「新しい国語1」より引用しています。

   遠景     木山捷平


草原の上に腰を下ろして

幼い少女が

髪の毛を風になびかせながら

むしんに絵をかいていた。

私はそっと近よって

のぞいてみたが

やたらに青いものをぬりつけているばかりで

何をかいているのか皆目わからなかった。

そこで私はたずねてみた。

―どこをかいているの?

少女はにっこりと微笑して答えてくれた。

―ずっと向こうの山と空よ。

だがやっぱり

私にはとてもわからない

ただやたらに青いばかりの絵であった。

指示・発問へ戻る   答えへ戻る

表紙へ戻る