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ノルマンディの町バイユーにある、バイユー・タピスリーです。1066年、ノルマンディー公ウィリアムがアングロ=サクソン人のイングランド王ハロルドを戦場で打ち破り、イングランドにノルマン人の王朝を打ち立てたという、俗にいうノルマン・コンクエスト(ノルマン人のイングランド征服)の業績を称えるために、彼の弟でありバイユーの司教でもあったオドの指揮によって製作されました。 11世紀後半に製作された全長70メートルにもわたる壮大なタピスリーは、刺繍が施されてからおよそ1000年の月日が経っているにもかかわらず、現在でも美しい色彩と活き活きとした表現力で私たちを魅了します。ちょっと内容がノルマン人の側から見たイングランド征服なので、プロパガンダっぽい感じがするんですけどね…。 タピスリーに描かれている内容は、大まかにいうと、エドワード懺悔王によるノルマンディー公ウィリアムの王位継承者指名→ハロルド、王の使いとしてノルマンディーへ渡航→ハロルド地元の貴族に拘束される→ウィリアムのおかげでハロルド釈放される→ハロルドとウィリアムの友情→ハロルド、ウィリアムの王位継承の際には協力を誓う→エドワード懺悔王崩御→ハロルド、誓いを破ってイングランド王になる→ウィリアム怒ってイングランドへ襲来→ヘイスティングスの戦い→ハロルド戦死→ウィリアム、イングランド王ウィリアム1世として戴冠、という感じです。またタピスリーの中では、火を放たれて炎上するディナンの町や、山の上にそびえるモン・サン・ミシェルの姿も見ることができます。 でも、あくまで「勝者」ノルマン人側の主張なので、タピスリーの中に描かれているとおりに、本当にエドワード懺悔王がノルマンディー公ウィリアムを後継者に指名したのか?、ハロルドは本当にウィリアムに協力を誓ったのか?等々、真実は謎のままです。 内容は疑わしいですが、とにかく素晴らしい芸術品であることにはかわりはありません。ぜひ一度バイユーを訪れてみてください。 |
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