ディナン
Dinan


中世時代からの城壁と町並みを残したディナンの町は、日本のガイドブックにはあまり紹介されていませんが、実はとても素敵な町です。

ランス川沿いあるディナンの町は、9世紀頃に修道院が開かれたところから始まります。河口まで20キロという地理的利点も手伝って、ディナンの町には港が作られ、商業地として発展して行ったのだそうです。同じ頃この地に砦が築かれ、その後1000年ごろ、ノルマン人によって木造のお城が築かれたました。

1066年にサクソン人の王を打ち倒しイングランド国王となったウィリアム征服王は、ノルマンディー公として自分に背いた貴族を討伐する際にディナンの町に火を放ったことがあります。彼のイングランド征服という偉業達成の過程を描いたバイユータピスリーには、炎上するディナンの町が織込まれています。当時の町を囲んでいた城壁は木造だったそうで、石造りのしっかりした城壁によって町がすっぽりと囲まれたのは、13世紀後半のことでした。14世紀の百年戦争の時代に城壁はその効力を発揮し、ディナンの町にやってきたイングランド軍の攻撃を退けたそうですよ。しかし、火薬が発明され剣や弓矢ではなく大砲が戦いにおいて主力を占める16世紀になると、その他の多くのお城たちのようにディナン城の有用性も失われて行き、荒廃の一途を辿ることになってしまいました。

第二次大戦ではドイツ軍の攻撃を受け、ディナンの美しい町並みは手痛い損害を被ってしまったそうですが、中世の町並みの復活に見事に成功しています。現在のディナンの町には、当時のままの強固な城壁が一部残されており、町の中では細い路地とそれらの両脇を競うように軒を連ねてひしめき合っている木骨組みの家々を見ることができます。町のレイアウトは、中世時代から変わっていないのだそうです。街の中心にそびえる聖Sauveur教会(すみません、日本語読みが分からないのです…)は、ロマネスク様式とビザンティン様式とペルシャ様式が混在する珍しいスタイルなのだそうですが、どれがどの様式なのか私には分かりませんでした…。

ディナンの街は、本当に素敵ですよ。広場周辺は木骨組みの家々が沢山あり写真を撮るには絶好のポイントです。とくに、ディナン港から聖Sauveurに通じるJerzual通りはお勧めです。長く続く坂道はちょっときついですが、中世時代ディナンを訪れた旅人たちは必ずこの通りを通ってディナンの町の中に入ってきたのだそうです。当時の人々になったつもりで、通りに面したレストランやお土産物屋さんを眺めるのは楽しいですよ。






フランスに戻る
ブルターニュに戻る