ヨーク クリフォーズ・タワー
Cliford's Tower




イングランド北東部にあるヨークは、現在でも城壁や古い町並みが残る魅力的な古都です。かつてローマ人の時代にはエブラークムと呼ばれ、現在大聖堂が建っているところにはローマ駐屯軍第9軍団の指令本部が置かれていたそうです。9世紀末にヴァイキングたちがイングランドを席巻した時代には、デーンローと呼ばれるヴァイキングが築いたコミニティの中心地でもありました。

11世紀末、イングランド北部の支配を強固なものにするため、ウィリアム1世がこの地に城を築いたのがヨーク城の始まりです。典型的なノルマン式モット&ベイリーの城で、現在でも見上げるほど高いモットが残っていますが、当時このモットの上に建てられたキープは木製でした。

1190年、この城で痛ましい事件が起きます。迫害を受けていた多くのユダヤ人たちが城に逃げ込み、キリスト教への改宗を拒んだ後塔の中で焼け死ぬという痛ましいものでした。 ヨーク城はその後1245年〜1265に石造りの城に改築され、現在見られるクリフォーズ・タワーもこの時建設されました。横から見ると塔は円形に見えますが、実は4つ葉のクローバーのような形をしているのだそうです。

16世紀には放置され一時廃墟となりますが、17世紀半ばの市民戦争の時代には王党派の城として攻撃を受け、議会軍に占拠されます。市民戦争終了後、ヨーク城は刑務所として使用され、1896年までは罪人の処刑が行われていたそうです。かつてのベイリーの部分に建てられている建物は、すべて刑務所として使用されていたそうですが、現在では博物館と裁判所として使用されています。

クリフォーズ・タワーだけでなく、ヨーク大聖堂もぜひ訪れてみてください。イングランド国教会は総本山として二つの大聖堂を持っています。一つはイングランド南東部ケント州にあるカンタベリー大聖堂、そしてもう一つがこのヨーク大聖堂です。ステンドグラスのばら窓が美しくて感動的でした。そういえば、ランカスター大学に留学中“Time Watch”という発掘番組が、ヨーク大聖堂の敷地内を発掘していたのを覚えています。確か、ヴァイキング時代の遺跡がちょこちょこ発掘されていたような…。ヨークの地にはまだまだ私たちの知らない過去の遺産が埋もれているのでしょうね。いつか発見されることがあるのでしょうか。考えただけでわくわくします…。

クリフォーズ・タワーは、 現在ではイングリッシュ・ヘリテッジの管理にあります。




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