マッターホルンを見飽きるほど堪能したヴァリスをあとにしました。
ツェルマットから列車でブリーク駅経由トゥーン湖畔の避暑地シュピーツへ。高台の駅からはトゥーン湖や湖畔の教会、城などが見下ろせて絵心をくすぐられる風景が広がっています。坂道を下って波止場から遊覧船でインターラーケンへ。船内の食堂でランチを楽しみながら約1時間半の湖上クルーズ。日本では紫外線対策に熱心だというのに、ここの人々は上半身裸になってデッキで日光浴をしています。ところ変わればということでしょうか。

避暑地トゥーン湖畔

船内ランチ。スイスの料理はどこもシンプル
手をかけた料理というのはあまり見ないし
お世辞にも美味いとは言えない

インターラーケン駅から列車でラウンターブルネン駅を経由してヴェンゲンへ。ここからゴンドラに乗ってメンリッヒェン展望台へ上がりました。天気が良ければアイガーなどベルナーオーバラント三山との対面になるはずですが、稜線には雲がかかって残念ながらその全容を見ることができません。穏やかに広がる丘陵状の地形はスキー場にもなっていて、雪が降ればところかまわず自由自在に滑走を楽しめそうです。
ベルニナ、ヴァリス、そしてこのベルナー・オーバーラントと回ってきて、その徹底した観光開発のすごさには驚きます。ケーブル、ゴンドラ、ロープウエイ、リフトなどがいたるところ、オーバーに言えば網の目のように張りめぐらされていますし、高所の展望台にもちゃんとレストランなどがあって快適に眺望を楽しめるよう設備もよく出来ています。それともう一つ、ハイキングコースは森林の中というのは少なく、遠くからでも登山道がよく見えますが、このハイキングコースもまた網の目状、それに整備は完璧で老若男女が安心して歩くことができます。

アイガー北壁の下半分を眺めながら、クライネシャイデックへ向けてハイキング開始。時刻は16時ちょうど、こんな時間からハイキングが始まるなんて日本では考えられませんが、なにしろ夜の10時近くまで戸外の活動が可能なほど明るいという土地柄です。
アイガーを正面にして胸のすくようなパノラマコースと言われるのですが、下半分しか見えないアイガーが何とも惜しい。遊園地を散策するようなコースを、緩い下り一方の楽々漫歩1時間15分でクライネシャイデックへ到着。今夜はクライネシャイデックの山上ホテル泊。

標高2061mにあるシャイデックホテルは創業が1842年とか。現在の建物は1961年当時のものだそうです。それだけに古色蒼然たる雰囲気に落ち着きと時代をうかがわせて、いかにも山のホテルという風情でした。

メンリッヒェン展望台へのゴンドラ

メンリッヒェン展望台、アイガー北壁の山頂は雲の中

坦々としたハイキングコース、アルペンローゼが咲き競う

アイガー北壁基部近くに建つシャイデックホテル
すぐ下を登山電車も走っている
クライネシャイデック駅前の高台に新田次郎の記念碑があるが、教えてもらわなければわかりません。
夕食後雲が切れてアイガー、メンヒ、ユングフラウヨッホの三山が姿をあらわしてきました。とりわけ夕映えに赭々と染まるアイガー北壁の迫力は目を惹きつけるものがありましたが、山容としてはヨッホの方に格段の魅力を感じました。
  
夕映えのアイガー北壁(左)とユングフラウヨッホ
   
スイスアルプスの旅日程表」へ 「山岳巡礼」のトップへ