バトル・アビー
Battle Abbey


バトル・アビー

イングランドの玉座を求めて、フランスはノルマンディー地方から海を渡ってやってきたノルマンディー公ウィリアムと、時のイングランド王ハロルドとが直接相対した戦いはヘイスティングスの戦いですが、実際の戦闘が行われたのはしかしながらヘイスティングスの地ではなく、このバトルです。1070年、戦いに勝利し晴れてイングランド王となったウィルアム1世は 、この戦いで戦死したハロルド王がまさにうち果てた場所に弔いの意味を込めて修道院を建立することを誓ったのがバトル・アビーの起源です。

ベネディクト派の修道院として完成したのが1094年ですが、時代と共に増改築が繰り返されました。写真はバトル・アビーのゲートハウスですが、修道院の建物というよりむしろお城のゲートハウスのような印象を受けます。それもそのはずで、このゲートハウスの建設が始まった14世紀半ばのイングランドは、後に百年戦争と呼ばれることになる対フランス戦争の真っ最中であり、イングランド南部の海岸地域はフランス人の襲撃を受け略奪や焼き討ちなどの憂き目に遭っている時代でもありました。堅固なゲートハウスはこの時代を反映しているといえます。

バトル・アビーは、建設当初よりウィリアム1世の保護のもとで様々な特権を享受しましたが、16世紀にヘンリー8世がイングランド全土で行った修道院解体令 によって修道院は解体されてしまいます。修道士たちが去った修道院は個人所有となり、所有者一族の住居として使用されました。バトル・アビーがイギリスの国有物となったのは1976年のことです。修道院の一部分は現在では学校として使用されています。ダラム城でも思いましたが、歴史ある建物内で学ぶことができる生徒さんたちがうらやましいですね〜。

バトル・アビーは現在ではイングリッシュ・ヘリテッジの管理となっています。




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