バイオテクノロジー・医学:

 『ドラえもん』でよく使われる技術の一つがバイオテクノロジーである。
 望むままの流行を生み出せる『流行性ネコシャクシビールス』などはこの技術の産物であろうし、既存の生物の遺伝子を操作して新しい生き物を作る、というネタも何度も出てくる。
 人間のクローン技術ももちろん完成されて、普通に商品化されているようだ。放射線を当てて生物を(それどころかラジオやネズミ捕りも)進化・退化させる技術まである。22世紀は、現在よりも総じてバイオテクノロジーや医学技術に対する規制が甘いらしい。

 遺伝子工学の技術に関してはかなり簡便化・一般化が進んでいると見えて、のび太が勝手に新しい生物を作ることができるくらい操作は簡単らしい。
 また、ひとつの個体の遺伝子をいじってそのままその個体に形質の変化を及ぼせる点も現代との大きな違いである。生殖細胞やバクテリアレベルでの改造でなく、「うちのカナリアを猫に負けないくらい強く」という要望に応えられる訳だ。代謝促進剤でも使って、個体を構成する細胞を一気に入れ替えたりしているのだろうか。

 この調子で行けば、クローンからの移植などを含め、22世紀では医学も随分と発達しているのではないかと思うのだが、実際にはあまりその辺の描写は作品中に出てこない。
 強いて言うなら『お医者さんごっこカバン』という道具があるのだが、これが意外に侮れない。風邪や胸焼け程度なら、カバンの一部を体に当てるだけで自動的に診断して、すっきり治る薬まで出てくるのだ。この高性能なカバンがごっこ遊びのおもちゃだと言うのだから、やはり本物の医学の進歩は相当なものなのだろう。

 医学とは少し違うかもしれないが、様々な効果を持つ飲み薬も、作品中にはよく出てくる。せっかちorのんびり屋になったり、疑り深くorお人好しになったりという性格改造系もあれば、昆虫のような能力が発現したり、体が軽くなって宙に浮いたりという体質改造系もある。
 現在でもサプリメント文化の発達しているアメリカ辺りでなら、近い形のものは実現してもおかしくなさそうだ。


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