時間操作:

 時間をゆっくりさせたり早送りにしたりする道具は、作品中に繰り返し出てくる。
 『狂時計(マッドウォッチ)』『タンマウォッチ』等の類似品もある。比較的有名なのは、水門のように時間の流れる速さを調整できる『時門』だろうか。藤子先生もきっと、締め切りに追われてこんな道具が欲しかったのだろう、などと想像してみる。

 これらの道具、効果範囲や使い方が微妙に異なるのだが、気になるのは自分以外全部(或いは自分も含めて全部)の時間の流れが変わるものである。例として『時門』を挙げよう。
 『時門』を閉めると、ちょうど水門を閉めたときの水の流れのように、時の流れがゆっくりになる…というか、この例えならば流れる量が減るのだろう。この効果はどうやら世界中に及んでいるらしく、テレビの番組が予定を変更して放送されたりしている(予定の放送が終わっても時間が余っているため)。また、日没までの時間が長くなっているところを見ると、天体規模でも同様の効果が出ているようだ。その延長として考えるなら、宇宙全体に効果が及んでいるのだろうか?

 しかし、局所的な効果ならいざ知らず、それではあまりにエネルギー消費が大きいように思われる(エネルギーを使うことなのかどうかも不明だが)。
 代わりとして考えたのは、@集団催眠説 Aパラレルワールド説 の2つである。

 @は、実は時間の流れる速さは変わっていないが、人々の精神作用や動きが普段の何倍も早くなっているために周りのことが遅く感じる、という説である。これならば、世界中に電波を飛ばせば何とかなりそうな気がする。が、犬や猫や鳥はどうなっているのか、という問題に答えられない。
 Aは、『時門』はパラレルワールド発生装置で、時間の流れの遅いパラレルワールドを作ってのび太たちはそこへ移動する、という説である。これもしかし、世界中の人々を連れて行くとなると相当なエネルギーを使いそうだ。

 どうもどちらもうまくない。
 結局あまり深読みせず、本当に時間を操作していると考えるのが無難かもしれない。


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