空間・次元:

 ドラえもんの道具の中で欲しがられるものナンバーワン、それが『どこでもドア』である。ネーミングも語呂がよく、かつ人々のニーズを確実に満たす、素晴らしい道具だ。
 しかし原理となるとこれまた(以下略)である。

 普通に我々の常識で考えるとどこでもドアの仕組みというのはあり得ないが、SFチックに言うと、あれは恐らく4次元的に二つの空間を繋いでいるのである。
 1直線上にある2点を繋ぐ最短ルートはひとつしかないが、それは1次元的に考えた場合。線をぐにゃっと曲げて(こうすると図は2次元=平面になる)2点をくっつけてしまえば、2点間の距離はゼロだ。同様にして、1平面(2次元)上の2点を結ぶルートも、紙をぐにゃっと曲げて(これで3次元=立体)点同士をくっつければ距離はゼロになる。これと同じ事をさらにもうひとつ上の次元でやっているのがどこでもドア…と観念的に書くのは簡単だが、では具体的にどういうことなのかというのは聞かないで欲しい。

 四次元ポケットの存在を見ても明らかなように、22世紀では物事を四次元的に扱う技術が確立しているのだ。一見ポスターのような犬小屋の絵だが本当に入れる『壁掛け犬小屋』や、地平線が見られるだけの何も無い空間を作る『地平線テープ』といった道具も、この四次元テクノロジーの応用と思われる。
 逆に、人や物を写真として保存できる『チッポケット二次元カメラ』なるものもある。これも名前が語るように、次元操作によって可能となる技術に違いない。

 もっとも、ドラえもんの道具のネーミングは、必ずしも額面どおりには受け取れないと私は思っている。これについては後述するとしよう。


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