解釈
「いいもん。リエはもう男のひとになんか興味ないもん」
小松崎[Komatsuzaki]リエ[Rie]は、見てしまった。ピアノ家庭教師の男性が、実の母親と同衾してるその現場を。ひそかに想っていた男性と、母親。初恋は最悪の形で砕け散った。
いつわりの愛に満ちた家庭には、もう、いられない。リエは全寮制カトリック女学院「聖アザレア学院」に転入する。都会から遠く離れた山中にある、主の声を聞くための場所へ。
そして、運命の出会い。
学生会長、早川[Hayakawa]ナオミ[Naomi]。豪奢な美貌を誇る上級生。全学院あこがれの女性[ひと]。
リエは一目で恋に落ちた。
ナオミおねえさまのほうも。
リエはナオミおねえさまと結ばれる。ほんとうの愛を手にしたと思った。
しかし。
ナオミおねえさまから見れば、それは、野に咲く花を一輪手折っただけのこと。しょせん、リエはただの性奴玩具[ペット]でしかなかった。
リエの同級生である如月[Kisaragi]ミドリ[Midori]が、すでにナオミの忠実な下僕[しもべ]として、その側にいた。
リエはナオミおねえさまとミドリ、ふたり共有のなぐさみものとなる。
そう。
ナオミおねえさまにとって、リエは玩具でしかなかった、はず。
ただの火遊び、いつもの火遊びだった、はず。
しかし。
ナオミおねえさまは、リエに深くのめりこんでゆく。
ミドリには、それがおもしろくない。
ミドリから見れば、リエは自分とナオミおねえさまの間に割り込んできた、不愉快な存在。
しかし。ミドリ自身もまたリエに惹かれはじめていた。あまりに純真無垢な聖母は、穢しても穢しても、堕ちも汚れもしなかったから。
アタシガスキナヒトハダレ?
ナオミおねえさま? ばかリエ?
リエの同室の娘は、工藤マリ。
リエの前では、おどけてナオミおねえさまへのあこがれを口にする。ミドリには露骨な敵視を向ける。
ほんとうは彼女は…。
ナオミおねえさまの別荘で、リエは真実を知ることになる。
ナオミおねえさまの本当の姿。
そして。
真実の愛とは何か、を。
同時に展開する多重の三角関係(ナオミを争うミドリとリエ)(リエを争うナオミとミドリ)(リエを争うミドリとマリ)(ナオミを争うリエとマリ)。
同性愛と加虐嗜好(&被加虐嗜好)という、2重にもつれた螺旋。
血で血を洗う同性愛は、ますます深く、切実なものになってゆく。
Escalation。段階的拡大。
−−OVA「エスカレーション」84〜86年版より。
原作と美籾版との相違点
02年夏の時点で、ふりかえると。 もっとも距離が開いちゃったのは、ミドリ。きまぐれ猫なアニメ原作よりも、ウェットなキツネ化してます。 アリサちゃんは、マリとの差別化のためにボク娘化しちゃいました。 ディリーベのトモエは。いまのところ美籾の側にいません。トモエ−ナオミが描かれなかったせいかな。
アリサ容認
白状すると、当初、アリサはあまり好きではなかった&ニガテで。ところが、2002年TVA「東京ミュウミュウ」を見て以後、アリサ容認さらには積極使用に転向しました。歩鈴&れたすが、アリサ&リエにスライドしたせい。地動説級の革命でした当人比。