税務調査の種類にはどのようなものがありますか?
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税務調査には大きく分けて強制調査と任意調査があります。
強制調査とは、悪質脱税容疑者に対し、裁判所が捜査令状を発行し、国税局査察部が強制的に証拠物件や書類を押収して行われる税務調査です。これは相当多額で悪質な脱税が探知された場合に行われ、国税局査察部は「マルサ」と呼ばれています。
任意調査というのは、申告の内容について確認をするために行われる税務調査です。あらかじめ脱税または不正の事実を把握した上でで行われるものではありません。したがって、通常は事前に調査の予定日も連絡してきますし、一般的な税務調査はほとんどがこの任意調査です。
しかし、任意とはいえ、税務職員には質問検査権というものが認めれており、正当な理由なしにその行使を断った場合には、所定の罰則が科せられます。
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うちの会社は3年に1度は税務調査がありますが、取引先の中には10年以上も税務調査がないところもあります。税務調査の対象の選定はどのような基準で行われているのですか?
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どの会社を税務調査対象とするかは、税務職員が個々の判断に基づいて行います。
コンピューターで選定するとか、どの会社も平等に調査しているわけではありません。
税務署には個々の会社ごとに、過去の申告のデータ等を整理した「税歴表」というものがあり、個々の調査官が自分の担当の会社の税暦表を見ながら税務調査先を選定します。経験の浅い調査官の場合は統括官(課長)が税務調査先を選定することもあります。
現実的には、税務署で重点業種に指定されている業種に属する会社や売上規模が大きめの黒字の会社は税務調査の対象となりやすいといえます。急激に業績が向上した会社や多額の貸倒がある会社、土地建物の取引があった会社なども税務調査対象になりやすいです。
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税務職員が何の予告もなく税務調査に訪れる場合もあるといいます。
このような場合はどうすればいいでしょうか?
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一般的な税務調査は任意調査であることは先に述べましたが、任意調査であっても、事前予告なしに税務職員が税務調査に来る場合があります。これを現況調査といい、現金商売のような予告した上での税務調査では会社の状況を把握できない場合に行われます。
これも任意調査の一種ですから、法的に応じる必要はありませんが、現実には税務調査が実行されるのがほとんどです。税務署の目的が現況の把握にあるからです。
しかし会社側に、責任者が不在である等、どうしても税務調査に応じることができない場合もありますので、そのときの状況により柔軟に対応するようにしてください。
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先日税務署から連絡があり、後日税務調査を受けることが決まりました。
事前の準備や心構え等、しておいたことがいいことはありますか?
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税務調査の日程が具体的に決まったら、過去3年分の経理関係の書類はいつでも見られる状態にしておきましょう。金庫や机の引き出し等も整理しておく方がよいです。机の中まで確認する調査官もいますので、私物はあまり置いておかないようにしましょう。もちろん、私物の確認を求められたときは拒否することもできます。
事前の準備として、想定問答集を作成したり、税理士とシュミレーションしたりする方もいますが、そこまでされるかどうかは、みなさんの好みで決められたらいいと思います。日ごろから自社の経理に自信を持っておられたら特に準備は必要ないでしょう。
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実際に税務調査が始まった場合に、するべきことはありますか? |
実際に税務調査を受けるときは、まず税務職員の身分証明書を確認しましょう。
税務調査がある場合、税務職員は来社時にまず身分証明書を提示します。
この提示に代えて、名刺を出す調査官もいますが、法的には身分証明書の携行と、請求があった場合の提示が定められています。
例えば、調査官が2人いて提示を求めたが、1人は身分証明書を税務署に忘れてきた。
こういうケースでは、その1人の調査官の税務調査を拒否して税務署に帰ってもらうこともできます。
そこまでする必要はないかもしれませんが、調査開始時には身分証明書の提示を求め、官職名と氏名くらいは控えておくようにしましょう。
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身分証明書の確認以外に、税務調査時に確認しておいた方がよいことはありますか? |
税務職員には質問検査権というものが認められていますが、それは必要があると認められるときにのみ認められることになっています。いついかなるときも、税務職員には税務調査をする権利が認められているわけではありません。
ですから、調査の際は税務調査理由を確認するようにしまましょう。
「売上を確認したい」「経費のこの点について疑問点があった」等、具体的な回答が得られる場合は少なく、「長い期間、税務調査に来ていなかったから」という回答がほとんどでしょうが、税務調査理由を求めることは、調査官に対する一種の牽制にもなります。
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当社では経理のことは担当者に任せてあります。社長は税務調査に立ち会う必要がありますか?
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代表者の態度や事業経営に対する考え方も税務調査の対象となっています。多忙な方でも、多少は税務調査に立会いした方がよいでしょう。経理のことは担当者に任せである場合でも、税務職員にある程度は接触する方が、税務署の印象もよくなります。
せめて税務調査初日の数時間は税務職員と応対し、自社の事業概況等を説明するようにしましょう。
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税務調査時には調査官にどういう応対をすればよいでしょうか? |
税務調査時に調査官に敵意をむき出しにして対応する方もいらっしゃいますが、できればそういう態度は避けたいものです。
お互い貴重な時間を使っているのですから、調査官には信頼感をもって接しましょう。調査官のいうことにすべて賛成することはありませんが、否定する場合であっても感情論でなく、法律的な根拠や取引の実態等、具体的な事実でもって説明すべきです。
調査官といえども人の子ですから、悪意をもった対応をされると、心証を悪くし調査が長時間に及んだり、細かい点まで徹底的に調べられるといった事態を招かないとも限りません。
質問には丁寧に答え、お互いが敬意を持てるような税務調査にしましょう。
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税務調査があると職員からいろいろ質問されると思います。
中には調べてみないと分からない質問もあると思いますが、曖昧な答えでもいいでしょうか?
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税務調査があると、会社の処理や取引内容についての問題点が指摘されることがほとんどです。何も問題がなかったとして税務署から認定ももらう(これを申告是認といいます)ことは1割にも満たないといわれています。
税務調査の段階で個々の取引等について質問を受けた場合は、即答する必要はありませんので、この点には注意してください。経理担当者といえども、過去の取引を即座に思い出せるわけではありませんから、記憶が曖昧な事柄や返答に自信がない場合は即答は避けましょう。後日確認する旨伝えればよく、即答のみが要求されることは、ほとんどないといえます。
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税務調査が終わりましたが、いくつかの点で税務署と見解の相違があります。
税務署の見解に素直に応じるべきでしょうか?
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税務調査の最後のつめが、税務署との折衝です。
税務調査があると、会社経理の問題点を指摘されることがほとんどですが、その場合でも会社の処理が100%誤りである場合はまれです。
税務署に指摘されたから不備を認めるのではなく、納得できない点については何度でも話合いましょう。税務署の意向や要求に耳を傾けながら、どのあたりまでなら納得できるか、結論を得るのに時間や労力は惜しまないでください。
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税務調査も終わり、見解の相違がありましたが、税務署の意見に同意することにしました。
納得できない部分もありますが、修正申告を出そうと思います。何か注意する点はありますか?
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一度修正申告を出してしまうと、その後に再訂正することは非常に困難となります。
修正申告を出す場合は、本当にその修正内容でよいのかどうか、再確認しましょう。
税務署の見解にどうしても応じられない場合は、修正申告を出さないというのも一つの方法です。その場合は税務署が更正(強制的に税額等を確定することです)をしますので、それに対して異議申し立てをしましょう。異議申し立てを行うと、最終的には税金裁判にまで発展することもあります。税金裁判で納税者側が勝訴になる確率は正直いって低いのですが、それくらいの覚悟でのぞむことも場合によっては必要かもしれません。
毅然とした態度で応対することで、税務署側の対応や主張が変わることもあります。
納得できない修正事項を安易に認めることは避けましょう。
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税務調査を受ける際、お願いする税理士によって結果が変わってくるのでしょうかか?
また税務署OBなら税務調査のときに顔が利くのでしょうか? |
・同じ会社が税務調査を受けても、税理士によって結果が変わってくるか?
→よく受ける質問ですが、答えはYESです。
・税務署OBなら税務調査のときに顔が利くのか? →これもよく受ける質問ですが、答えはNOです。
いずれにしましても、税理士によって税務調査にのぞむスタンスも考え方にかなり差があります。
税務調査のときに、その税理士の本当の姿が分かる、ともいえるでしょう。
税務署の顔色を伺う税理士
税務調査のときに一言も喋らなかった税理士
税務調査で発覚した自分のミスを認めようとしない税理士・・・
わたしも直接税務調査の現場を見たわけではありませんが、そういう税理士がいても何ら不思議ではありません。
同業者からも、また弊所にご依頼いただける以前は他の税理士の方とのお付き合いがあった弊所のお客様からも、いろいろな話を聞きます。
弊所は税理士=納税者の代理人=納税者の権利をできる限り擁護する、という立場を取っております。
脱税は犯罪ですから絶対にいけませんが、たとえば会社がある支出をしたとします。
それが経費になるかならないか。
取るべき方法としては経費になるかならないか、どちらかしかないのですが、そういった場合、法令に照らして、できる限り会社が有利となるよう、知恵を絞って考えたいと思います。
税務調査に関する疑問やご質問がありましたら、お気軽にご相談ください。
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